ヒルバーグ一家が作り上げた特別な構造の利点
その理由を探るためには、まずブランドの歴史を振り返ってみる必要がある。ヒルバーグは、1973年、当時森林管理官をしていたBo Hillebergと妻のRenateの手により、スウェーデンでスタートしたテント専門ブランドである。
Boは、従来のテントがインナーテント(テント内部の部屋にあたる部分)を張ってから、レインフライシート(外側に張る屋根や壁になる部分。アウターフライとも呼ぶ)でインナーを覆わなければいけない点に強い不満を持っていた。強風時はふたつの作業をしてテントを設営するには時間がかかるし、雨の日はアウターを張るまでにインナーを濡らしてしまうこともあるからだ。
「そこで彼が考え出したのが、アウターとインナーを同時に張れるよう、吊り下げて連結させる独自構造でした。この構造により、ワンステップで張れるので、設営の手間が大幅に短縮できます。つまり誰でも簡単に立てられるんです。アウターとインナーを分割して単体で使えることもポイントです」。
また、隙間があることでインナーは常にドライに保てるし、外気温が低い日でも空気の層があるおかげでテント内は比較的暖かい。暑い日にはベンチレーター(換気口)を大きく開けられるので、通気性も抜群だ。
この画期的かつ快適な独自構造こそが、ヒルバーグが特別なテントである所以だ。2本のポールを挿すだけで設営は誰でも簡単に完了、そしてとにかく快適なラグジュアリーテントなのである。
3/4