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2019.12.30

時計

エルメスの時計が持つ“俳句な世界”を「スリム ドゥ エルメス」で堪能

時器放談●マスターピースとされる名作時計の数々。そこから6本を厳選し、そのスゴさを腕時計界の2人の論客、広田雅将と安藤夏樹が言いたい放題、言葉で分解する。「ラグジュアリーブランド編」となる今回の5本目は、エルメスの「スリム ドゥ エルメス」。
安藤夏樹●1975年、愛知県生まれ。ラグジュアリーマガジンの編集長を経て、現在はフリーに。「SIHH」や「バーゼルワールド」を毎年取材し、常に自分の買うべき時計を探す。口癖は「散財王に俺はなる!」。
安藤 エルメスの時計の歴史ってけっこう古いんですよね?
広田 そうですね。比較的古い。確か20世紀初頭には扱い始めているはずです。初期のころにはジャガー・ルクルトなどと一緒に時計を作ったり。1978年には「ラ・モントル・エルメス(現・エルメス・オルロジェ)」って時計の子会社を設立しています。
安藤 以前は女性向けの時計のイメージが強かったんですが、最近はメンズが良いですよね。この「スリム ドゥ エルメス ルゥール・アンパシアント」は、見た目からして「これぞエルメス」というか、上品なのに少しの可愛らしさがある感じ、けっこう好きです。
ラグジュアリーブランドのスゴい時計【5】
エルメス「スリム ドゥ エルメス ルゥール・アンパシアント」
エルメス「スリム ドゥ エルメス ルゥール・アンパシアント」
7時位置にあるインジケーターが1時間のタイムキーパー。華奢で小さなチーンという音がする。「スリム ドゥ エルメス ルゥール・アンパシアント」。K18PGケース、40.5mm径、自動巻き。431万円/エルメスジャポン 03-3569-3300
広田 素敵!  超お上品! エルメスワールド全開です。
安藤 単に上品なだけに止まらず、モダンさを感じるのは、やっぱりこのアラビア数字のフォントのせいでしょうか。現代フランスを代表するグラフィックデザイナー、フィリップ・アペロワが、エルメスのためにデザインしたんですよね。
広田 そうそう。んでもって、機械も面白いですよ。機能的には紳士のためのリマインダー時計というか。
安藤 リマインダー時計?
広田 はい。いわゆるアラーム時計ですけど、設定時間の1時間前になると7時位置にあるインジケーターの針がビューンと動き出して、その時が来たら自分にしか聞こえないくらい小さな音でチーンって鳴る。
安藤 ああ、だからリマインダー時計か。確かに普通のアラーム時計だと「ジリジリ」と誰もが気づくくらいの音が出ますもんね。でもこの時計の場合には密やかに鳴るというか、自分のためだけに鳴っている感じ。たとえ他の人に聞こえたとしても、嫌な感じは受けない音ですよね。会議のときとか、この機能使ってたら洒落てるなぁ。
広田雅将●1974年、大阪府生まれ。腕時計専門誌「クロノス」編集長。腕時計ブランドや専門店で講演会なども行う業界のご意見番である。その知識の豊富さから、付いたあだ名は「ハカセ」。


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