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2022.07.09

からだ

“モテ”から“身だしなみ”に。凄腕美容ライターと考察する、男の正しいフレグランス術



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ともすれば服以上に印象を大きく左右する“男のフレグランス問題”。

自由気ままな本誌編集部員たちの香りノウハウを、さまざまな女性誌で活躍する凄腕美容ライター、立花あゆさんがチェックする!

美容ライター、コスメスタイリスト、色気研究家
立花あゆさん
数々の媒体で美容記事を担当。またパーソナルコスメスタイリングサービス「コスメトロ」や人、企業、モノコトをつなげる「ツナギヤ」を主宰。
OCEANS編集部 編集長
江部寿貴 Age 45
シャネルの「エゴイスト」から香りの道へ。艶っぽい香りが好きだが、40歳を過ぎてから気分やTPOに応じて使い分けるように。
OCEANS編集部 デスク
笹岡裕太 Age 33
幼少期から香水が苦手だったが、30歳を過ぎて香りの癒やし効果を知る。しっとりと落ち着く柑橘系の香りに目がない。
OCEANS編集部 デスク
藤井健人 Age 34
ニオイに敏感な妻にディスられないよう、常にいい香りを身に纏っている。清潔感のあるフレッシュな柑橘系の香りが好み。

モテるための香水から身だしなみとしての香水へ

江部 いやぁ〜最近、会社もいい香りがするんだよね。昔はメンズ誌の編集部といえば、体育会系の部室のニオイがしたものです(笑)。

立花 いいことですね。世の中的にも香水や香りのするコスメを使っている男性が増えてきましたから。そういえば、ちょうど江部さんの年齢、40代半ばの男性はフレグランスを使っている人が特に多いなと感じます。

江部 そう、僕が青春を過ごした1990年代はメンズフレグランスが大流行した時期。高校生のとき、クラスのみんながいろいろな香水を使っていたな〜。オシャレなやつ、イケイケなやつが多い学校で、みんなで香水をつけては夜な夜な街へ繰り出したりして。

藤井 懐かしい! 僕の高校ではジバンシイの「ウルトラマリン」が大人気で、イケてる同級生が使い始めたから、みんな真似して使っていました。だから、教室中にその香りが充満していて(笑)。「今日、忘れちゃったから、お前のマリン貸してよ?」みたいな。

立花 すごいクラスですね(汗)。江部さんはどんな銘柄を?

江部 その頃はもっぱらシャネルの「エゴイスト」。ウチのクラスでは、ギ ラロッシュの「ドラッカー ノワール」がめちゃくちゃ流行っていて、僕はみんなと差をつけるためにそれを選んでいた感じ。

立花 バニラとスパイスの効いたウッディオリエンタルノートで、夜の似合う艶っぽい香りの名作ですね。

江部 当時は黒シャツにゴールドのネックレスみたいな格好をよくしていて、そこに香水をつけることで、ちょっと大人になった気がして……。とはいえ、とにかくオンナの子にモテたかったっていうのが本音かな(笑)。僕たちの世代では、そんな気持ちから香水道に足を踏み入れた人はきっと多いはず。

藤井 分かります! 僕も「ウルトラマリン」さえつけておけばモテる、と信じていました。でも、今はモテるためというよりも、身だしなみの一環という意味合いが強いかな。香りも爽やかで清潔感のある柑橘系が好みだし。

笹岡 僕にとって香水は、完全に自分のためのアイテム。昔から男っぽい香水が苦手でしたが、エルメスの「H24」は女性調香師の作品だからか、香りが軽やか。上品なグリーンノートなので、抵抗を感じません。これで仕事の合間に気分をリフレッシュしています。

 

「エルメス」のH24 オードトワレ。香水クリエーション・ディレクター、クリスティーヌ・ナジェル初のメンズフレグランス。クラリセージをベースにスイセンとローズウッドが優雅なボタニカルノートを奏でる。「クラリセージの香りってなんだか安心するんですよね」。100ml 1万6720円/エルメス(エルメスジャポン 03-3569-3300)


立花 笹岡さんのように他者へのアピールではなく、自分のために香りを使う男性は増えていますよね。メンズフレグランスのトレンドを見ても、バニラやムスクのような甘い系よりも、フレッシュな柑橘系や落ち着いたウッディ系の人気が高まっています。

江部 確かに年齢とともに香りの好みはだんだん変わりつつあるなぁ。今使っているオフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリーのやつはすっきりとした上品な甘さ。シダーやウッディの香りは気分も落ち着くし、年齢にも合っているかなと。それに一緒にいる人にもハッピーな気持ちになってほしいし。

 

「オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー」のオー・トリプル 大工の聖ヨセフ。フランスの8人の調香師がルーブル美術館の作品をテーマに製作。ウッドとピンクペッパー、バーベナ、スギの四重奏の中にビターアーモンドが甘いアクセントに。「香料の格調高い香りはアルコールを含まない水性香水ならでは」。75ml 2万3100円/オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー(ビュリージャパン 0120-09-1803)


立花 時代の流れを見ると、万人受けしやすいシトラスの香りがやっぱり人気かも。今はコロナ禍前に比べて、夜遊びする機会が減っていますよね。だから夜の社交場でその威力を発揮するエレガントなものよりも、朝や昼が似合う好感度の高いフレッシュな香りのニーズが高まっているのかなと。

江部 時代だねぇ。でも、艶っぽい香水が嫌いになったわけじゃない。いや、むしろ今でも好き。甘いムスクの香りを嗅ぐと、イケイケだったあの頃の思い出がフラッシュバックし、エネルギーが湧いてくるゾーーーーー!!

笹岡 香りは記憶を呼び起こしますからね……、いったいどんな生活を送っていたんですか?(汗)。

江部 そ、そこはノーコメントで。

 

「バイレード」のミスター マーヴェラス オードパルファム。スウェーデンで誕生したフレグランスブランドの代表作のひとつ。マンダリンやラベンダーによる清々しい透明感のある香りにウッディなスモーキーさがほんのり香る夏向けの香調。「爽やかなのに存在感のある不思議な香り」。100ml 3万2560円/バイレード(エドストローム オフィス 03-6427-5901)


立花 本当に、香りの印象って強いですよね! 良くも悪くもいろいろ記憶が蘇るのは確かです(笑)。そして、香水は異性へのアピールから、自分の気持ちを高めるなど使い方はさまざまですね。それぞれに香りと紐付いた思い出があることは、日本の男性に香水文化が根付いた証拠ともいえそうな気がします。


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