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2017.03.20

ライフ

こんな部下どうする? レベル8「自分より明らかに仕事ができる部下」

自分が入社した頃と比べると、採用基準のハードルは年々高くなっている

会社が持続的な成長するためには、多様な人材が必要になります。特に昨今は、グローバル化やインターネット化の影響に晒されていない企業はなく、英語力やプログラミング能力、webマーケティング経験のある人材を採用したがる企業が増えてきています。オーシャンズ世代が新卒入社した90年代に比べると採用基準がずいぶん変化しており、「今の採用基準なら、自分は入社できなかったかも」と思う人も少なくないでしょう。
「そんな部下でもイケてる上司でいられますか?」を最初から読む
仕事ができる部下がいることは、本来上司として大変喜ばしいはずですが「部下にバカにされてはいないだろうか」「自分の指示が間違っていたらどうしよう」「自分より先に出世されたら恥ずかしい」などとマイナスな感情も生まれてしまうから不思議なものです。私自身も畑違いのアプリ開発の部署のマネジメントを任されたときに、そういった“負の思考”に陥ったことがあります。
仕事ができる部下の中にも、いくつかタイプがあります。
(1)仕事ができることをひけらかさず、謙虚なタイプ
(2)仕事ができることをアピールし、出世への野心のあるタイプ
(3)仕事ができることを鼻にかけ、自分が正しいと信じているタイプ
(1)は、仕事ができて人間的にも信頼できる「できる部下」の代表のようなタイプですが、このタイプはある日突然転職してしまうことがあるので注意してください。“優秀なのに謙虚”ということは、逆に言えばその部下の能力を引き出すのは上司の役目です。部下の優秀さに甘えて頼りにしすぎていると、本人は「物足りない」「もっと向いている仕事があるのでは」と思うようになります。上司として部下の能力開発とモチベーションに気を配ることが重要です。
(2)は、上司のマネジメントの良し悪しで、輝くか輝かないかが大きく変わります。「自分より出世して上下関係が逆転してしまうのでは」との恐れから、部下に対し「まだ足りない」「自分はもっとすごかった」などとマウントポジションを取るような言動をするのは“ダメ上司”。部下が成果を出して出世すれば、多くの会社はその部下の能力を存分に発揮させたということで、上司のあなたも出世するはずです。「部下の成果は上司の成果」と思ってマネジメントするのが賢明です。
(3)は、鼻もちならなくて、ちょっとやっかいですよね。
さて、あなたならこんな部下、どのように対処しますか?
「え、そんなこともわかんないんですか?」って、自分より明らかにできる部下に言われたら、、、上司としての威厳はどうなるの?

仕事ができることを鼻にかけているなら、その鼻を上手にへし折ってあげよう

そもそも(3)のように、仕事ができることを鼻にかけ、自分が正しいと信じているタイプを「優秀な部下」とは言いませんよね。それでも成果を出しているのだから、上司としてはちゃんと活かしていかなければなりません。その部下にしかない専門性の高い能力があるなら、なおさらです。そのためには、本人の鼻を上手にへし折り「ああ、自分は未熟だった」と気づかせることが必要です。
とはいえ(2)と同じように、上司の威厳を見せつけようとマウントポジションをとるような鼻の折り方は絶対NG。「自分が正しい」ことを示すために、部下は上司のあなたに攻撃をしかけてくるでしょう。闘争本能に火をつけるだけです。では、どう上手にへし折るのか。
私だったら「外の世界と混ぜる」「360度の評価を行う」の2つを考えます。
「外の世界と混ぜる」とは、社外でのカンファレンスやコンテストなどに参加させることで、外の世界で本人がどれくらいの実力があるのかを測る機会を作ってあげるのです。専門性の高い仕事をしている人ほど、自分の技術を磨くことに熱心ですから。社内ではなく、社外に目を向けさせるのです。
「360度の評価を行う」とは、上司・同僚・後輩から本人がどのように見られているかを多面的に評価する機会を作ることです。「仕事への取り組み姿勢」「部署間の連携」「人材育成への貢献」などについて、本人の自己評価と周囲の他己評価のギャップに着目しながら本人に気づきを促す手法です。人事制度として360度評価を導入している会社ならば、その機会を積極的に利用しましょう。導入されていない場合は人事担当に協力を要請して、本人が自律的に気づくための手法を相談してみてはいかがでしょうか。
とにかく重要なのは、本人が自ら気づくこと。その機会を与えたのに鼻もちならないのが続くようなら、それも本人の個性だと思って次の活かし方を考えるのが“イケてる上司”だと言えるでしょう。
次回はレベル9「育児と仕事の両立に悩んでいる部下」です。
取材・文/藤井大輔(『R25』元編集長)
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