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介護をする家族がケアマネに言ってはいけない 7つのNGワード

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あまり考えたくはない未来の「もしも」が、人生には必ずある。夫婦のこと、子どものこと、両親のこと、会社のこと、健康のこと、お金のこと、防災のこと――心配しだすとキリがないけれども、見て見ぬフリをするには、僕たちもそう若くはない。今のうちから世の中の仕組み、とりわけセーフティネットについて「知っておくこと」は、自分の大切な人たちを守るためにも“大人の義務教育”と言えよう。37.5歳から考える未来の「もしも」、全6回にわたり「家族の介護」について考えていきたい。

「37.5歳のもしも……家族に介護が必要になったら?」を最初から読む

ケアマネジャーは利用者や家族の下請けではない

利用者本人・家族とケアマネは信頼できるパートナーであることが理想ですが、お互い人間同士なのでどうしてもそりが合わないときもあるでしょう。そんなときはケアマネにも問題がないとは言いませんが、今回はあえて本人・家族側の問題点にフォーカスしてみたいと思います。それでは“ケアマネに嫌われるNGワード”を7つご紹介していきましょう。

(1)「プロなんでしょ?なんとかしてよ!」
介護保険制度は複雑で変更も多いので確かに分かりづらいのですが、だからと言って本人や家族が何もルールを理解せずにケアマネに丸投げするのはNGです。介護保険の基本方針は「自立支援」「利用者本位」ですから、ケアマネはあくまで対等なパートナー。下請けの業者ではありません。またケアプランを作成するためには、本人・家族が「どんな暮らしを実現したいのか」を決める必要があります。あせらずに、ケアマネと一緒になってケアプランを考えていく姿勢が大切です。

(2)「私の言うとおりのケアプランにして」
(1)とは逆に、介護保険や介護サービスをある程度理解している利用者が、ケアマネに先回りしてなんでも決めてしまうケースです。本人や家族が医療介護従事者だったり行政関係者だったりする場合が多いです。「××の施設長は私の知り合いだから」「△△デイサービスの評判が良いから」とケアマネの頭越しに連絡して勝手に決められると、ケアマネは何もアドバイスができなくなります。細かく要望を出すことは良いのですが、ケアマネより自分が詳しい、といった態度は控えめにしたほうが良いでしょう。

家族の関わりが、薄すぎても濃すぎても困る

(3)「お金は出すけど、それ以外は関わりたくない」
突然介護をしろと言われても今の生活を変えるわけにはいかないから、なるべく家族の関わりを薄くする代わりにお金で解決したい、という方がいます。本人と家族が遠距離で生活している場合に多いケースです。お金があることに越したことはありませんが、介護が必要になった本人の寂しさやつらさ、無念さを解決するのは、お金ではなく家族の支えです。仲むつまじい家族ばかりではないでしょうが、それでも緊急時や手術が必要なときは家族の同意が必須ですし、家族の関わりが全くなしでは難しいのが現実です。

(4)「お金は出したくないので、自分でやります」
(3)とは逆にお金に余裕がない家族の場合、介護保険の自己負担分すらも削減したい思いがあるのか、介護サービスの支援なしに介護を選択される方もいます。ケアマネとしては家族の介護疲れや必要な支援が行き届いていないことを心配して、適切なサービスにつなぎたいと思っていても、お金を出せないと言われてしまうとそれ以上は動けなくなります。本人・家族が共倒れになってしまっては遅いので、頑張りすぎる前にケアマネのアドバイスに耳を傾けてください。

(5)「放っておいてください。必要なとき連絡するので」
(4)とも似ていますが、より介入されることを拒否される本人・家族がいます。お金の問題だけでなく、地域からも孤立し閉じこもりがちになっているケースが多いです。自宅に入ることすら拒否されると、ケアマネとしては必要な情報を収集することすらできません。このような困難事例に対して強いノウハウを持つベテランのケアマネや社会福祉士出身のケアマネもいますし、そういったときこそ専門職の腕の見せ所だと燃えるケアマネもいます。少しずつで良いので、ケアマネを信頼し、心を開き胸の内を明かしていくようにしてください。

いくら「利用者本位」といっても、ケアプランには限界はある

(6)「あなたは信用ならない。ウラがあるんでしょう」
ケアマネのパフォーマンスが最も高くなるのは、「家族から信用されること」そしてケアプランによって「本人の生活の質が向上すること」のふたつが重なったときです。信用されることなくして最適なケアプランはつくれないので「あなたは信用ならない」という言葉に、ケアマネはとても傷つきます。法人に所属しているケアマネがほとんどなので、利益誘導とまではいかなくても法人の意向に沿わなければならないこともあります。それを「ウラがある」と言われると動きようがなくなります。「信用しているんですが、自分が理解するためにも、どうしてそのケアプランが良いのか、背景や理由を教えてください」と伝えればスムーズではないでしょうか。

(7)「あなたは誰の味方なの?」
ケアマネは本人と家族の間に入ることはもちろん、病院・介護サービス事業所・施設のスタッフや民生委員、近隣の住民などさまざまな人と連携をとる必要があります。基本的には「利用者本位」であることが前提ですが、どうしても調整が思い通りにいかないこともあります。病院や施設の都合が優先されたと感じてもすぐに腹をたてるのではなく、その背景にはさまざまな連携があることを理解した上で、ケアマネに説明に求めると良いでしょう。

7つのNGワードをご紹介してきましたが、ケアマネ側にだって問題はいろいろあります。いくらプロとはいえ人間ですから。そんなときでも、お互いの「信頼」をベースとしたコミュニケーションを心掛けていただければと思います。

全6回の連載で、介護の心強いパートナーであるケアマネジャーへの理解は深まりましたでしょうか。少しでも皆様のお役に立てたのであれば幸いです。

取材・文/藤井大輔
リクルート社のフリーマガジン『R25』元編集長。R25世代はもちろん、その他の世代からも爆発的な支持を受ける。2013年にリクルートを退職し、現在は地元富山で高齢者福祉事業を営みながら、地域包括支援センター所長を務める。主な著書に『「R25」のつくりかた』(日本経済新聞出版社)

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ケアマネジャー , 介護 , 家族
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