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寝るために飲む……効果は最初だけ?知られざる寝酒のリスク

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日本生活習慣病予防協会によると、「慢性的な不眠」に悩まされているのは日本人の5人に1人。読者のなかにも「最近寝つきが悪くなった」「早朝に目が覚めてしまう」など、“睡眠”にまつわる悩みを抱えている人がいることでしょう。果たして睡眠の質を高めることはできるのでしょうか? さまざまな角度で検証していきます!

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“寝酒”という言葉もあるように、適量のお酒を摂取することによる入眠作用はよく知られています。しかし、たとえ少量であれ、「長期的に見れば『寝るために飲む』行為はリスクが高い」と、新橋スリープ・メンタルクリニック院長の佐藤 幹先生は指摘します。睡眠とお酒の関係について、お話を伺いました。

「お酒で寝つきがよくなる」には恐ろしい落とし穴があった

「確かにお酒を飲むと寝つきがよくなり、睡眠の前半部分では“深い眠り”が訪れます。しかし、後半部分になると眠りが浅くなり、目が覚めやすくなることが知られています。ストレスの発散や社交の目的で飲むのはかまいませんが、“良質な睡眠をとるため”にアルコールを使うのは良くないのです」(佐藤先生、以下同)

佐藤先生いわく、お酒を飲んで眠りやすくなるのは「最初だけ」。2日と3日と続けているうちに、酒に体が慣れてしまうため効果が薄れてしまうそう。

「徐々に効果が薄くなるため、眠ろうとして酒量が増え、ますますお酒をやめられなくなる、という悪循環に陥ってしまいます。アルコール依存症というと“お酒を飲んでいないと手が震える”というような症状を想像される方も多いでしょうが、少量であれ“お酒なしでは寝つけない”という状態は、アルコールへの依存状態にあると考えたほうがいいでしょう」

たとえば、ビール500mlを分解するのには一般的に4~5時間程度かかるため、缶ビール1本程度の晩酌だったとしても「アルコールが抜けきらないまま」床につくことになります。たまにであれば大きな影響はありませんが、それが習慣化している人は少しずつ改善していくことが望ましいそう。

「毎日どれくらいの量を飲んでいるかにもよりますが、まずはお酒を飲む頻度を1日おきにしていく。その翌週は2日おき、さらに次の週は3日おき……という具合で、1、2カ月かけてゆっくりと“お酒を飲まないと眠れない”という状況を脱することが大切です。そんなに深酒をしていない方であれば、やめやすいかと思います」

抵抗感強い“睡眠薬”だが、依存性は酒より低い

それでも自力で抜け出すのが難しい場合は、スリープクリニックなどの専門医に相談すべきだといいます。

「お酒をやめていく過程で最低量の睡眠薬をお出しする場合があります。睡眠薬に抵抗のある方もおられるでしょうが、最近の睡眠薬はアルコールよりもずっと依存性が低く、効果も一定なので、服用する量が増えていくわけでもありません。お酒を睡眠薬に置き換えて、まずはお酒をやめます。依存性の高いお酒がやめられたら、最後に睡眠薬を抜いていけば安全です。お酒はどこにでも手に入るカジュアルなものですが、先ほどお話しした依存性の高さに加え、飲酒により喉がむくみ、“睡眠時無呼吸症”につながる可能性もあります。また習慣的に摂取すると、内臓や消化器にも影響があるので、アルコールは睡眠薬よりも、健康に対するリスクが高い物質と言えるでしょう」

“お酒を飲まないと眠れない”は自分で思っているより危険な状態かも。心当たりのある人は、まずは普段のお酒の習慣を見直してみましょう。

取材・文/周東淑子(やじろべえ)

取材協力/新橋スリープ・メンタルクリニック 佐藤 幹先生
東京慈恵会医科大学卒業後、同大学精神医学講座入局。2003~2010年、同大学付属病院本院精神科外来勤務。睡眠障害を中心に精神科領域全般における診療を行なう。睡眠学を専門とし、睡眠時無呼吸症候群、ナルコレプシー、時差ぼけ、不眠症などの研究を行う。特に不眠症に関しては認知行動療法を取り入れた治療法を研究している。2010年、新橋スリープ・メンタルクリニックを開設。日本睡眠学会認定医。

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