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ケアマネジャーがなかなかつかまらない。そんなに忙しいの?

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あまり考えたくはない未来の「もしも」が、人生には必ずある。夫婦のこと、子どものこと、両親のこと、会社のこと、健康のこと、お金のこと、防災のこと――心配しだすとキリがないけれども、見て見ぬフリをするには、僕たちもそう若くはない。今のうちから世の中の仕組み、とりわけセーフティネットについて「知っておくこと」は、自分の大切な人たちを守るためにも“大人の義務教育”と言えよう。37.5歳から考える未来の「もしも」、全6回にわたり「家族の介護」について考えていきたい。

「37.5歳のもしも……家族に介護が必要になったら?」を最初から読む

利用者ひとりひとりに丁寧な対応を心掛けているケアマネがほとんどだが、どうしても忙しくてつかまらないときも……

ひとりのケアマネが担当する件数の目安は35人

「ケアマネさんがなかなかつかまらない」「いつも忙しそうで大変そう」といった声を利用者本人・ご家族から聞くことがあります。クレーム、というよりはケアマネを気遣った発言のケースが多いのですが、実際のところケアマネはどれだけ忙しいのでしょうか?

まずひとりのケアマネが担当する利用者の数ですが、居宅介護支援事業所では「利用者35人につきひとりのケアマネを配置しなさい」との基準があります。よって「居宅ケアマネの担当件数は35人が上限」と考えることもできますが、正確に言うと上限はありません。ただ40人を超えるとケアマネの報酬(居宅介護支援費)が半分になり、さらに60件を超えると1/3以下になってしまうので「多くても40人を超える担当件数は持たない」事業所が自然と多くなります。

また特別養護老人ホームや老人保健施設では「100人につきひとりのケアマネを配置しなさい」という基準が定められています。ですので「施設ケアマネの担当件数は100人が上限」と考えることができます。居宅ケアマネと施設ケアマネで担当者数に約3倍の差があるのは不思議に思うかもしれませんが、施設ケアマネの場合は同じ施設内にいるので日ごろの接点が多いことから担当数が多くなっていると考えられます。

ケアマネが必ず行わなければいけない業務とは?

次にケアマネの仕事内容についてですが、ひとりの利用者に対し義務づけられている業務があります(ここからは居宅ケアマネをベースに説明いたします)。メイン業務である「ケアプランの作成」から説明していきましょう。

ケアプランは介護サービスを利用するための計画書なのですが、「本人がどのような生活を送りたいのか」などの目標を決め、その実現のために必要な支援が何かを記入するようになっています。ケアプランを初めて作成するときには、本人・家族の状況を把握するためにご自宅へ訪問します。ヒアリング内容を元にケアプランの原案を作成し、必要になる介護サービス事業者との調整を行います(サービス担当者会議といいます)。会議には本人・家族も同席してもらい、ケアプラン原案の内容を確認します。その内容で本人が同意をしてサインをすると、正式なケアプランとなります。

その後ケアプラン通りにサービスが実行されているのか、期待している効果が出ているのかをモニタリングをするため、ケアマネは少なくとも1カ月に1回以上、自宅への訪問・モニタリング結果の記録が義務づけられています。ケアマネひとりが35人担当すると、単純計算で1日に1件以上は自宅へ訪問していることになります。

“意識高い系ケアマネ”ほど、忙しくなってしまう

モニタリングの訪問だけでも忙しそうですが、それ以外にも「要介護認定の更新・変更」や「介護保険の給付管理」「地域ケア会議への参加」などがあります。またケアマネ本人の能力向上のために、事例検討会やケアマネ研修に参加している方もいます。専門職の意識が高いケアマネほど、忙しくなるのは仕方ないことかもしれません。

ここで、ケアマネはお金のために忙しくしているわけではない、ことを前提としつつ、ケアマネの介護報酬についても少しだけ説明したいと思います。主となるのは、居宅介護支援費で1件当たり1万円(要介護1・2)もしくは1万3000円(要介護3・4・5)とされています(地域によって金額が異なる場合あり)。また認知症の方や独居の方へのケアマネジメントや入院・退院時の病院との連携などを行うと加算が1500円~6000円付くことになります。ほかにも細かいルールがあるのですが、ざっくり言えば35件担当しているケアマネは1カ月で40~50万円程度の介護報酬を請求することになります(ケアマネ本人の給料とは異なります)。これを高いと考えるか、安いと考えるか。私個人の考えでは労働の対価としては安いと思います。ちなみに利用者の負担は一切ありません(2017年現在)。

最後に、ケアプランは「本人の自己決定」が大前提なので、ケアマネは本人やご家族の相談があれば最優先で対応しようと動きます。しかし不思議なことにそういった相談はタイミングが重なることが多く、どうしても対応が遅れてしまうことがあります。ケアマネにも「申し訳ない」という気持ちがありますので、少しばかり気を長くもってケアマネと接するのが吉でしょう。

次回は「こんな言い方をするとケアマネに嫌われる? 7つのNGワード」について書いてみたいと思います。

取材・文/藤井大輔
リクルート社のフリーマガジン『R25』元編集長。R25世代はもちろん、その他の世代からも爆発的な支持を受ける。2013年にリクルートを退職し、現在は地元富山で高齢者福祉事業を営みながら、地域包括支援センター所長を務める。主な著書に『「R25」のつくりかた』(日本経済新聞出版社)


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ケアマネジャー , 介護
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