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「年のせいで眠れない」は事実!オッサンの不眠、ホントの理由

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日本生活習慣病予防協会によると、「慢性的な不眠」に悩まされているのは日本人の5人に1人。読者のなかにも「最近寝つきが悪くなった」「早朝に目が覚めてしまう」など、“睡眠”にまつわる悩みを抱えている人がいることでしょう。果たして睡眠の質を高めることはできるのでしょうか? さまざまな角度で検証していきます!

30代も後半に差し掛かると、「眠りが浅くなった」と感じる人も多いことでしょう。加齢と睡眠にはやはり因果関係があるのでしょうか? 新橋スリープ・メンタルクリニックの佐藤 幹先生に聞きました。

加齢による睡眠時間減は50代から。まずは“就寝環境”をチェック

「確かに、人が『眠れる時間』は年齢を重ねるごとに短くなっていきます。統計では、15年を取るごとに、眠る時間は30分ずつ短縮していくといわれています。理由としては、睡眠のリズムをつかさどる『視交叉上核(しこうさじょうかく)』という脳の部分や、自律神経系の機能が加齢とともに弱くなってくるから。ただし、これらはあくまでも50代以降の話。30代で眠りが浅かったり、早朝覚醒があったりする場合には、何か別の原因があると考えられます」(佐藤先生、以下同)

佐藤先生いわく、30代で眠りの質が悪い場合は、眠る前の“環境”に原因があることが多いといいます。

「たとえば、就寝直前のテレビ視聴、スマホの使用は、脳が覚醒した状態になるので眠りが深まらないことが多いです。また、深い眠りは、脳や内臓の温度である『深部体温』が下がることでもたらされます。お風呂に浸かった場合、深部体温が下がるまで2時間くらいかかるので、就寝直前の入浴も寝つきが悪い原因になります」

さらに、“眠る(ベッドに入る)時間帯”も重要だそうです。

「実は眠りに適していない時間帯というのがあって、それが21~23時くらいの間。その時間帯は、先ほどお話した深部体温が高いことが知られています。また、人間の眠りは『メラトニン』というホルモンが分泌され、その働きによって深部体温が下がることによって促されるため、21~23時のメラトニンが少ない、もしくは出にくい時間帯にベッドに入っても、眠りが深くならないことがあります。睡眠時間を7時間は確保したほうが良いので、起きる時間にもよりますが、生理学的には23時半以降に布団に入ると眠気が出てきやすく理想的です」

帰宅後は布団にダイブ……も睡眠の質の低下を招く

ただし、布団に入る時間にこだわり過ぎるあまり、会社から帰宅後すぐ就寝……という生活スタイルになってしまうのもよろしくないようです。

「都市部の30、40代の方に多いのが、深夜0時くらいに会社から帰宅して、翌朝は6、7時に起床しなければならないから、1時には寝ていなければならないというパターン。仕事で興奮した脳を休める間もなくベッドに入るので、なかなか眠りにくいと思います」

仕事後、質の良い睡眠をとるためには、眠る前に“脳を冷却する時間”を設けることが大切だといいます。

「本当は20時くらいに帰宅して、ゆっくり過ごしてから、23時半以降に就寝するのが理想です。とはいえ、多忙な生活リズムを急に変えるのは難しいので、ある程度“布団に入る時間”を決めてもらって、少なくともその直前の1時間は脳をリラックスする時間に充てたほうが良いでしょう」

30、40代の「眠れない」原因には病気が隠れていることも……

なお、眠るための環境を整えても睡眠の質が悪いと感じる場合、“不眠症”の疑いがあるとのこと。不眠症の原因としては、“ストレス”がよく知られていますが、思わぬ病気によって引き起こされていることもあるといいます。

「途中で目が覚める有名な疾患として『睡眠時無呼吸症』があります。特に日本人は顎の小さい人が多く、顎の狭いスペースの中で、気道が舌や扁桃といった組織に挟まれて起こることが多いです。肥満が原因ということはよく知られていますが、肥満でなくともありうる病気です。

また、寝ている間に足がぴくぴく動いて目が覚める『周期性四肢運動障害』や、寝る前や夜間に脚が熱い、むずむずする、動かしたいという感覚があって寝付けなかったり、夜中に目が覚めたりする『むずむず脚症候群』も不眠の原因として知られています」

これらは30代でも起こりえる病気だそうです。いずれも、治療が必要になる場合が多いので、心当たりのある方は医師に相談してみましょう。

取材・文/周東淑子(やじろべえ)

取材協力/新橋スリープ・メンタルクリニック 佐藤 幹先生
東京慈恵会医科大学卒業後、同大学精神医学講座入局。2003~10年、同大学付属病院本院精神科外来勤務。睡眠障害を中心に精神科領域全般における診療を行う。睡眠学を専門とし、睡眠時無呼吸症候群、ナルコレプシー、時差ぼけ、不眠症などの研究を行う。特に不眠症に関しては認知行動療法を取り入れた治療法を研究している。10年、新橋スリープ・メンタルクリニックを開設。日本睡眠学会認定医。

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