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同じじゃない!素材別・革靴の正しいケア/週末靴磨きの極意(3/4)

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「週末靴磨きの極意」を最初から読む

オシャレは足もとから。手に入れたいい革靴を履きつぶしてしまうのは、極めてもったいない。靴磨きは身につけておいて損のない男のたしなみといえる。週末に念入りに磨き込む作業を趣味の域に高めてしまえば、きっと靴を育てる喜びを感じられることだろう。目指せ20年モノ!


靴磨きといえば、クリームを塗って、ワックスで磨いて…という基本のお作法を想像することだろう。しかし、シューズ専門店を覗いてみると、一般的な黒や茶の光沢のある牛革の靴ばかりではないことは、一目瞭然。そこで、素材や色で変わるお手入れのテクニックをご紹介しよう。

お話を伺ったのは、靴磨き職人として注目を集め、各地で靴磨きのテクニックをレクチャーする明石 優さんだ!

コードバンとカーフ、キップそれぞれどう違う?

パッと見、光沢のある牛革…かな? と思いきや、実はけっこう種類があるものらしい。

「牛革でもっとも多いのが、生後半年以内の子牛の革を使ったカーフと、生後半年〜1年のキップです。また雰囲気の近いコードバンは、馬のお尻の希少な革。新品時の印象は近いのですが、シワの光沢の入り方が違います。繊維が入り組んでいる牛革に比べ、コードバンは繊維が縦に並んでいます。そのため裂けやすいほか、雨染みになりやすいので注意が必要ですね」

それらのお手入れは、いわゆる靴磨きの手法だとか。まず汚れを馬毛のブラシとシュークリーナーで落とす。そして乳化クリームを指でしっかりと塗り込み、豚毛のブラシで革の奥まで刷り込む。最後にワックスをネル生地の布に付け、ピカピカになるまで磨き上げるのだ。

「たとえばコードバン専用のクリームなどもありますが、一般的な牛革用のクリームで代用できますよ」

スエードとヌバック、雰囲気は近いけど実は別物!

続いてはスエードやヌバックといった起毛素材について。

「スエードは牛革の裏面を使っていて、ヌバックは銀面を削って起毛させたことの状態なんです。特徴は、ヌバックは起毛が短くて、サラッとしていてエレガントに見えるんですね。いずれも光沢のある牛革に比べて表面が割れにくく、頑丈ですね」

さらに防水スプレーを掛けてあげれば水や汚れにも強い。アウトドア用のブーツで採用されているケースが多いのは、そういうこと。ヨーロッパでは雨の日用の靴として親しまれているのだとか。

「そんなスエードやヌバックのお手入れですが、実はどちらも一緒。汚れは削るんです。金属のリン青銅でできたブラシで磨いて、200番台後半から300番台前半の紙ヤスリでごしごしヤスリましょう。そのあとに防水スプレーを掛けてあげます。ただ、若干色が落ちたりするので、専用の色つきスプレーを掛けてあげるといいですね」

鏡面のようなパテントレザー、お手入れはかなり楽ちん!

お次は光沢が美しいパテント(エナメル)。実はパテントとは特許製法の意味で、約200年前にアメリカで「水や汚れに強い革靴を作ろう」と開発されたものだとか。かの光沢感は、コーティングによるもの。それゆえ、めっぽう強度があるのだそう。

「メンテナンスフリーともいわれますが、定期的に汚れを落としてあげることも大切です。また専用のクリームを塗り込んで、保護膜のケアをしてあげましょう。それと大切なのが、湿度の管理。高温多湿な日本ではコーティングが劣化しがちですから、あまり湿気がこもらない環境で保管することが大切です」

リザードは水洗いNG。基本のお手入れでOK

最後はリザードやクロコダイルといった爬虫類系。

「基本は牛革と同じケアで大丈夫なんですが、注意点はウロコの間。割れやすいので、しっかりそこにクリームを入れて挙げて下さい。またコーティングしていることが多く、アルカリ性に弱いんです。靴用の水洗い用シャンプーを使ったりすると、光沢感が消えてしまうことがあります」

水生生物なのに水洗いに弱いとは、なんとも皮肉な話だ。

「キレイな色!」は危険? 購入時には、ケアも考える

「やり方を守って定期的にケアすれば、どんな靴でも長期間履くことができますよ。ただ、購入時に注意しておきたいことですが、あまりトリッキーな色を選んでしまうと、ケアが大変になるんです。というのも、クリームやワックスの色は限られているからです。水色とかライトグリーンといったマニアックな限定色を勢いで買うと、あとあと苦労することもありますから気をつけて下さい」

靴の購入時には、お手入れグッズもあわせて揃えるといいかもしれない。

「どんな素材や色の靴であっても、ガシガシ履いていただいて大丈夫です。そのためのお手入れですからね」

明石さんのいうように、「ケアが大変だから」「高価だから」と遠慮して履かずに、靴箱の肥やしにしてしまうなんて本末転倒。それに、いい靴は作りもいい。それぞれの靴の特徴をキチンと把握しておけば、気押されずに楽しいシューライフを満喫できそうだ。

■教えてくれた人

明石 優
靴育て研究家/絵描き。茨城出身。2006年靴磨きを始める。2008年シューズラウンジ brift Hが南青山にopen、百貨店、一流アパレルブランドのイベントなど靴磨きパフォーマンスを経験。2011年独立。現在、世田谷ものづくり学校内『自由大学』、熊谷『NEW LAND』などさまざまな場所にて日本には数少ない靴磨きの講師として活躍。 靴のケアをより身近にしてもらいたい想いで代々木公園にてaozora shoe shine schoolも開講中。 この時代だからこその靴磨きの大切さと奥深さを伝え、靴を手入れすることを歯磨きくらい当たり前の文化へ発展させていく。

吉々是良=取材・文
小島マサヒロ=撮影

■緊急告知!「オーシャンズ」読者向けワークショップを6月25日(日)に開催!!

※第二回の募集は終了いたしました。たくさんのご応募ありがとうございました。

靴磨きは奥が深い。自分の靴をよりよく育てたいのであれば、明石さんに教えを請おう! そこで「オーシャンズ」の読者に向けたワークショップを開催。一般読者もエントリーできるが、定期購読者なら無料。つまり持っていくものは自分の靴だけ! プロの技をしっかり身につけて、週末のケアタイムを充実させてみては?

日時:6月25日(日)
①午前の部 11:00〜12:30(10:30受付開始)
②午後の部 14:30〜16:00(14:00受付開始)
場所:Creator’s District
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1-17-1 TOC第2ビル
*部屋番号は当選者に追って告知を致します。
定員:各回12名、合計24名
持ち物:革靴

*スウェードタイプや起毛素材のシューズはご遠慮ください。
*お持ち頂く革靴の色は問いません。

参加費
・雑誌OCEANS定期購読者:無料
・一般読者:¥3,000
*雑誌OCEANS定期購読者の方は、お連れ様1名まで無料です。
*一般読者の方は当日会場にて現金でのお支払いとなります。必ずおつりのないようにご用意ください。
締め切り:2017年6月1日(木)
*当選者の発表は、メールの発送をもって代えさせていただきます。
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